被相続人に借金がある場合

2020年10月1日

令和2年度も半分を過ぎました。新型コロナの影響で「勉強会」などの開催ができませんが、相続案件や終活相談にはさほど影響はありませんでした。今年も残り3ヶ月となりましたが、年内中にはNPO法人りりーふねっと主催の勉強会を開催したいと考えています。

 

さて、相続とは、積極財産(プラスの財産)及び消極財産(マイナスの財産)のすべてを受け継ぐことです。積極財産だけを相続することはできません。

例えば、遺産分割協議にて「金融資産は長男が相続をして、アパートローン付きの不動産は妻が相続し、アパートローン返済も妻がおこなう」と合意をしたとしても、債権者である銀行などがその協議内容を承諾していない限り、長男も法定相続分の借金を相続します。

被相続人が実際に借入をしていれば財布の中身、返済明細、通帳、不動産登記事項証明書などを見ることにより、借入先も判明します。しかし、保証人になっている場合は、このような書面が無いことが多く、見つけるのに苦労します。保証契約は書面で行わなければその効力を生じない(民446②)ので、この書面を見つけることが重要です。結果的に、借金ばかりが残っており、一切の承継をしたくない場合は、家庭裁判所にて相続放棄をします。

なお、借金があるのかどうか不明な人が亡くなった場合は、相続放棄をすることを前提にした対処が必要です。借金の月々返済、未納税金及び未払公共料金などの支払い、預金の引出しや家財などの処分をすると、相続(単純承認)をしたとみなされる可能性があり、相続放棄ができない場合がありますので注意しましょう。