相続関係Q&A

Q1.話し合いがまとまらない。どうしたらよいか

A.

法定相続人が複数いる場合、共同相続人は、遺言で禁じられた場合を除き、相続開始後いつでも、その協議で遺産の分割をすることができます(民907)。ただし、1人でも反対者がいる場合は、遺産分割協議はできませんので、さらに話し合いをすすめ、合意の見込みがなければ、遺産分割の調停または審判の申立てを検討します。
基本的には、家庭裁判所のお世話になりたい人は少ないです。できれば、話し合いで解決したいと考えています。そこで、相続人だけでの話し合いではまとまらないのであれば、第三者の専門家を交えれば良いのではないかと相談を受けることがあります。しかし、第三者を入れてうまくいくことは稀です。なぜかというと、喧嘩状態にある相手方の代理人から妥協案や分割案を示されても、相手は聞く耳すら持ってくれないからです。
相手と話したくないから、自分の言い分を伝えて相手の意見も聞いてほしい(代理ではなく使者)という理由であれば、第三者を交えても良いと思います。
続いて、遺産分割調停について説明します。遺産の分割について相続人間で協議が調わないとき、または協議することができないときは、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所へ申し立てます。自分で申し立てることは可能ですが、添付する書類も多いので、申し立てる家庭裁判所へ聞いて下さい(豊橋市・豊川市・田原市・新城市・蒲郡市エリアの管轄は、名古屋家庭裁判所豊橋支部となります)。
遺産分割調停は調停委員を交えた「話し合い」です。意見がまとまらなかった場合、または相続人が一人でも参加しなければ不調に終わり、審判手続きに移行します。一連の流れや注意点を知るためにも調停申立ての前に一度ご相談下さい。

Q2.相続人と連絡がとれず困っている

A.

相続人を調査するため、私達は戸籍一式及び戸籍の附票を取得します(戸籍の取得方法は相続関係Q15参照)。戸籍の附票とは聞きなれないと思いますが、住所の移動が記録されている書類の事で、本籍がある役場で戸籍とセットで管理されています。その書類を見れば、現在の登録住所が判明するので、書留郵便にて相続が発生した旨の手紙を送ります。一回目の手紙で反応が無ければ、多少文章を変更して2回目の手紙を送ります。それでも連絡がなければ現地に行きチャイムを押します。ここでお会いできなければ、ご近所に聞いたり、探偵に調査依頼をしたりする場合もあります。
結果的に見つからなければ、家庭裁判所へ不在者財産管理人選任審判の申立てをして、選任された不在者財産管理人が家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加します。この場合、原則、不在者には法定相続分の相続がなされます。

Q3.借金(連帯債務・保証)がある人の相続の注意点を教えて

A.

相続とは、積極財産(プラスの財産)及び消極財産(マイナスの財産)のすべてを受け継ぐことです。積極財産だけを相続することはできません。例えば、遺産分割協議にて「金融資産は長男が相続をして、アパートローン付きの不動産は妻が相続し、アパートローン返済も妻がおこなう」と合意をしたとしても、債権者である銀行などがその協議内容を承諾していない限り、長男も法定相続分の借金を相続します。被相続人が実際に借入をしていれば財布の中身、返済明細、通帳、不動産登記事項証明書などを見ることにより、借入先も判明します。しかし、保証人になっている場合は、このような書面が無いことが多く、見つけるのに苦労します。保証契約は書面で行わなければその効力を生じない(民446②)ので、この書面を見つけることが重要です。結果的に、借金ばかりが残っており、一切の承継をしたくない場合は、家庭裁判所にて相続放棄をします。
なお、借金があるのかどうか不明な人が亡くなった場合は、相続放棄をすることを前提にした対処が必要です。借金の月々返済、未納税金及び未払公共料金などの支払い、預金の引出しや家財などの処分をすると、相続(単純承認)をしたとみなされる可能性があり、相続放棄ができない場合がありますので注意しましょう。

Q4.遺産が不動産しかない場合の遺産分割はどうしたらよいか

A.

遺産分割の方法には、大きく分けると現物分割、代償分割、換価分割、共有分割がります。どの分割方法であれば合意できるのか話し合うことです。以下で各分割方法を説明します。
現物分割・・・A不動産は長男、B不動産は二男、C不動産は長女、というように相続します。
代償分割・・・長男1人が不動産のすべてを相続した代わりに、長男は二男及び長女に対し代償金として金銭を支払うという方法です。ただし、長男が代償金を払うだけの資産を持っていなければ債務不履行となり、金銭をもらえない可能性があります。債務不履行になっても遺産分割協議はやり直せませんので注意しましょう。
換価分割・・・不動産を相続人全員で共有取得し、その上で共有不動産を売却し金銭換価する方法です。代償金の支払能力のある相続人が存在しなかったり、不動産をほしがる人がいないなどの理由で選択されるケースが多いです。
共有分割・・・不動産を相続人全員で共有取得する方法です。二次相続などを考えると、所有者がどんどん枝分れしていき、譲渡や権利設定をしたいときに面倒となるので、あまりおすすめはしていません。
なお、代償分割、換価分割による遺産分割協議書は、様々な作成方法があります。この分割方法を希望される場合はご相談ください。

Q5.銀行・信用金庫・農協の相続手続について教えてほしい

A.

金融機関実務において、相続人が自分の相続分だけを単独で引出すことはできません。また、預金者(被相続人)の死亡を知った時点で預金口座の凍結を行います。凍結されると、引き出しはもちろんのこと、入金や振替もできなくなります。原則として、遺言書、遺産分割協議書、調停調書もしくは審判書によって手続きをするか、各金融機関が用意した相続届などの書面を使用して払戻しなどの手続きを行います。
経験上、各金融機関に提出する書類はほとんど同じです。主なものとしては、被相続人の出生〜死亡まで連続した戸籍一式、相続人全員の戸籍及び印鑑登録証明書、窓口へ行く人の本人確認資料(免許証など)、通帳(定期預金証書含む)、キャッシュカードです(出資している場合は出資証券も必要)。
以下、豊橋市、豊川市、田原市、新城市、蒲郡市、岡崎市にある金融機関手続のマメ情報を掲載します。参考としてご覧下さい。
①豊橋信用金庫は相続人の住民票が必要な場合があります。
②豊川信用金庫は、遺産分割協議書を提出しても相続人全員の署名押印ありの「念書」が必要な場合があります。
③ゆうちょ銀行は、各店舗がゆうちょ銀行代理店としての書類提出窓口になるだけで、書類チェックや口座解約は、ゆうちょ銀行相続センターがまとめて行っています。その関係で不足書類や訂正書類のやり取りはセンターと行わなければならず、面倒だと文句を言われる人が多いです。すべての書類が揃ってから解約まで平均2週間かかります。
④三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行、みずほ銀行などの都市銀行は、すべての書類が揃ってから解約まで平均2週間かかります。
⑤名古屋銀行、静岡銀行、中京銀行、十六銀行、愛知銀行などの地方銀行は、すべての書類が揃ってから解約まで平均1週間かかります。
⑥JA(農業協同組合)は、預金者の大半が出資しているので、預金解約と一緒に出資証券の手続きも行いましょう。すべての書類が揃ってから預金解約までは1〜2日で終わります。出資証券の譲渡または解約(現金化)には1ヶ月以上の時間がかかります。
なお、遺産分割協議書の記載内容によっては、一旦、解約金を代表相続人に集めておき、そこから葬儀寺院費用、未払医療費、その他費用を差し引いて分割する事もできます。このような遺産分割協議書作成をご希望の場合はご相談下さい。

Q6.証券会社の手続きについて教えてほしい

A.

証券会社も金融機関手続と同様、相続人が自分の相続分だけを単独でもらうことはできません。また、契約者(被相続人)の死亡を知った時点で証券口座の凍結を行います。
原則として、遺言書、遺産分割協議書、調停調書もしくは審判書によって手続きをするか、各証券会社が用意した相続届などの書面を使用して名義書換などの手続きを行います。
経験上、各証券会社(大和証券、みずほ証券、SMBC日興証券、野村證券、東海東京証券、岡地証券、三菱UFJモルガンスタンレー証券など)に提出する書類はほとんど同じです。主なものとしては、被相続人の出生〜死亡まで連続した戸籍一式、相続人全員の戸籍及び印鑑登録証明書、窓口へ行く人の本人確認資料(免許証など)です。ちなみに、すべての書類が揃ってから名義書換に有する時間は、平均2週間です。
注意点として、銀行の手続きとは違い被相続人が口座開設している証券会社に相続する人の証券口座がなければ手続きができません。証券口座を持っていなければ、相続手続きと一緒に口座開設をしましょう。株式が相続人に名義変更された後、売却して金銭換価することができます。
なお、遺産分割協議書の記載内容によっては、一旦、株式を代表相続人に移しておき、金銭換価してから、葬儀寺院費用、未払医療費、その他費用を差し引いて金銭分割する事もできます。このような遺産分割協議書作成をご希望の場合はご相談下さい。

Q7.未公開株式の相続手続きについて

A.

生前に勤めいていた会社の未公開株式を、被相続人が持っている場合があります。その場合の相続手続きを説明します。
未公開株式を相続した相続人が、その会社に対し権利行使をするためには、株主名簿の名義書換をしなければならず、会社に対して名義書換を請求することができます。請求方法は、会社によって異なりますので、まずは、必要書類の確認など問合せをしましょう。一般的な必要書類としては、被相続人の出生〜死亡まで連続した戸籍一式、相続人全員の戸籍及び印鑑登録証明書、遺言書、遺産分割協議書、調停調書もしくは審判書、株券が発行されている場合は株券です。
中小企業の場合、名義書換請求に慣れていないケースが多く、名義書換から譲渡(売却)まで時間が掛かります。それと、年1回の株主への事業報告書を作成していない会社も多く、相続税評価の算出にも苦労します。未公開株の評価出しは複雑ですので税理士に相談しましょう。

Q8.法定相続人とは

A.

遺産を相続する人は法律で定められています。ここでは、相続人になる人は誰か、について法律の規定を説明します。
相続人は、配偶者と血族の二種類があります。配偶者とは夫又は妻のことで、法律上婚姻届をした正式なものに限り(民739)、常に相続人となります。内縁の夫や妻は相続権がありません。血族というのは血の続いた親族をいいます。養子は子と同じに取り扱われるので血族としての地位を持ちます(民809)。その血族のうち相続人となる可能性があるのは直系卑属(子、孫、ひ孫など)、直系尊属(親、祖父母、曽祖父母など)、兄弟姉妹(またその子)の三種類です。伯父・伯母が相続人となることはありません。
さて、この血族の中では順位がついており、子が第一順位です。孫やひ孫は直接の相続人ではなく、子が死亡している場合に相続人となります(民887②)。その第一順位がいない場合、第二順位である直系尊属(親など)が相続人となり、さらに第二順位もいなければ第三順位である兄弟姉妹(またその子)が相続人となります。
まとめると、配偶者は常に相続人であり、血族は各順位の存在によって相続人が変わるということです。

Q9.法定相続分とは

A.

民法の定める相続分は以下のようになっています。

①配偶者と子が相続人の場合
 配偶者2分の1
 子2分の1(2人以上いる場合は按分します)
 
②子がおらず、配偶者と直系尊属(親など)が相続人の場合
 配偶者3分の2
 直系尊属3分の1(2人以上いる場合は按分します)
 
③子も直系尊属(親など)もおらず、
 配偶者と兄弟姉妹(または甥姪)が相続人の場合

 配偶者4分の3
 兄弟姉妹(又は甥姪)4分の1(2人以上いる場合は按分します)
 ※異父・異母兄弟姉妹については、相続関係Q10参照のこと。
 
④配偶者しかいない場合の相続分
 配偶者全て

なお、相続分が遺言書で指定されていたり、相続人全員による遺産分割協議により相続財産を分割する場合には、民法が定める相続分でなくても問題ありません(遺留分の問題は残ります)。

Q10.異父・異母兄弟姉妹がいる場合の相続分について

A.

相続関係Q8で説明したとおり、被相続人に直系卑属(子や孫など)もなく、あるいは直系尊属(親、祖父母など)もいない場合、第三順位である兄弟姉妹(またその子)が相続人となるのですが、これが通常の兄弟姉妹なら平等の割合で相続することになります。
ところが、種違い・畠違いの兄弟姉妹も、父親または母親のどちらかが同じである以上、法律上も兄弟姉妹となります。同父母の兄弟姉妹と比較すれば、それこそ血の半分しか共通でないという半血であるから、それだけ縁も薄いです。そこで法律もこのようなときは同父母の兄弟姉妹の相続分の二分の1という割り当てにして、その辺のあんばいをうまくとっています(民900④)。ちなみに、このようなケースは紛争になりやすいので、一度ご相談ください。

Q11.墓、仏壇などの相続について

A.

お墓や位牌、仏壇などの事を祭祀財産といいます(民897)。祭祀財産の所有権は被相続人に属していますが、祭祀財産の承継は相続によらず祭祀主宰者が承継します(民897)。したがって、遺産分割の対象にはなりません。
では、祭祀主宰者はどのように決まるのでしょうか?基本的には、遺言書などによる被相続人の指定によって決まりますが、指定が無ければ慣習により、慣習が明らかでなければ家庭裁判所が定めることになっています(民897①②)。ただし、相続人間で祭祀財産の帰属について紛争がなければ、遺産分割協議にて祭祀承継者を決定し、祭祀財産の帰属を誰にするのか決定することも可能です。祭祀承継を含めた遺産分割協議書の作成を希望される方は、一度ご相談下さい。

Q12.生前贈与でお金をもらっている相続人がいる場合

A.

相続人の中に被相続人から、生前に婚姻や生計の資本として贈与を受けた人がいる場合は、これを遺産分配の際、計算に考慮しないと不公平になります。そこで、民法903条は、生前贈与を「特別受益」として遺産に加えたものを相続財産とみなし、法定相続分又は指定相続分の中から特別受益財産を控除し、その残額をもって相続分を決めるよう規定しています。どの贈与が特別受益にあたり、特別受益の持戻計算はどのようにするのかなど、分かりにくい部分も多いので、特別受益については専門家に相談しましょう。
ちなみに、特別受益について相続人間で紛争が無く合意できるのであれば、遺産分割協議にて決定しても差し支えありません。(なお、合意できない場合は家庭裁判所で決定してもらいます)。特別受益を考慮した遺産分割協議書の作成を希望される方は、一度ご相談下さい。

Q13.住宅ローンが残っている家の相続の注意点

A.

原則、銀行で住宅ローンを組む場合、債務者には「団体信用生命保険」という生命保険の加入が義務付けられています(住宅金融支援機構の住宅ローンは義務付けられていません)。まずは、金銭消費貸借契約書や登記事項証明書で借入先を確認し、団体信用生命保険会社の連絡先を聞きましょう。この生命保険の特徴は、保険金が相続人ではなく債権者(抵当権者)に直接振込まれ債務を完済するところにあります。住宅ローン付きの不動産を相続した人は、債務者の死亡後、できるだけ早く保険手続を行い、無駄な利息支払のないようにします。
ちなみに、住宅ローンは債務者の死亡により当然に各相続人の法定相続分に応じて分割されます。相続人の一人に債務を負担させる遺言書や相続人間でおこなう遺産分割協議によって、特定の人のみが債務者となるものではありません。債権者(抵当権者)と交渉し、承諾を得ることが必要なので注意しましょう。

Q14.生命保険金の請求と相続放棄について

A.

相続放棄をすると、その相続に関しては初めから相続人たる地位を取得しません。すなわち、一切の積極財産及び消極財産を承継しないということです。しかし、生命保険契約は、保険金受取人がどのように指定されているかによって受取りの可否が変わります。

1.保険金受取人が指定されている場合
保険金請求権は、受取人として指定された人の固有の財産なので、相続放棄をしても受取れます。

2.保険金受取人が「相続人」と指定されている場合
上記1と同様、各相続人の固有の財産として、法定相続分の保険金を受取ることとなります。ただし、保険金請求には、相続人全員の署名捺印及び印鑑登録証明書などが必要となるため、連絡が取れない又は非協力的な相続人がいると手続きがすすみません。この場合は、保険会社の担当者へ、個別対応での保険金請求(相続分)が可能なのか相談してみましょう。

3.保険金受取人が被相続人と指定されている場合
原則論として、保険金請求権は遺産に含まれます。例えば、入院保険金、手術費用保険金、がん一時金などは、相続人全員による遺産分割が必要となります。

Q15.戸籍謄本の集め方

A.

人は、出生すると親の戸籍に入り(入籍)、結婚をすれば新しい戸籍を作ることなり、また、本籍地を変更(転籍)したりすれば新しい本籍地で戸籍を作ることになりますし、上記以外にも養子縁組や離婚などの身分変更があれば本籍地も変わる場合があります。相続手続きの際に昔の戸籍を確認する理由は、実子や養子である法定相続人を確定させるためです(誰も知らなかった「隠し子」の存在が出てくる場合もあります)。例えば、被相続人が親であり子が相続する場合、親の死亡が記載された戸籍、及び親の相続人を明確にした戸籍が必要です。死亡記載の戸籍は、被相続人の本籍地が分かれば本籍地の市町村役場にて取得できます。不明の場合は、住所地の市町村役場で「本籍地記載ありの住民票」を取得すれば、その住民票に本籍地が記載されていますので、本籍地の市町村役場にて戸籍を取得します。ここまでは簡単ですが、死亡が記載された戸籍以前の古い戸籍も必要です。次の戸籍はどこに行けば取れるのか不明な場合は、市町村役場の窓口担当者に聞きましょう。親切な窓口担当者だと、請求先の住所、連絡先も教えてくれます。
ちなみに、わざわざ役場まで出向かなくても郵送請求することもできます。市町村役場のホームページには「戸籍・住民票の請求」ページが必ずありますので、そのページから郵送請求書をダウンロードし、必要書類と一緒に郵送しましょう。
なお、相続人の中に疎遠になっている兄弟姉妹(甥姪)がいる場合は、取得する戸籍も複雑となり、取得する戸籍枚数も増えますので、一度ご相談下さい。

Q16.葬儀費用は誰が負担すべきなのか

A.

葬儀費用の負担について法律は規定していません。いろいろな考え方があるのですが、大きく分けると以下4つの考え方があります。

①喪主の負担
 葬儀を主催した者は、自己の債務として負担すべきである。

②相続人の共同負担
 葬儀費用は、相続に関する費用であるから、
 相続人が共同して負担すべきである。

③相続財産の負担
 葬儀は、相続債務の一つである。

④条理慣習による
 遺産相続とは無関係なもので、
 祭祀の承継の一場面として慣習にあわせる。

相続人全員の意見がまとまれば、どの考え方によっても問題ありません。しかし、費用負担についてまとまらなければ、③の考えによる相続財産からの負担にすれば反対の意見も出ないのではないでしょうか。この場合は、どこまでの費用(法要など)を相続財産の負担とするのか決めておかなければなりません。

Q17.相続税の申告が必要なのか調べたい

A.

なぜ、相続には税金がかかるのでしょうか?相続税は、相続税法という法律に規定されており、死亡した人の担税力が生じることに着目して、税金がかかることになっています。これは財産を偶然に取得したことによる不労所得に対して所得税がかかる代わりに、財産を取得したことに対する特殊な取得税として、相続税という名前の税金がかかることになるわけです。
相続税の申告が必要なのかどうか調べるには、まず財産の合計額を調査します。現預金は通帳を見ればすぐに分かりますし、証券会社へ特定口座をお持ちの場合は、その証券会社へ評価額が分かる書面の取得をすれば判明します。不動産は、市町村役場より不動産課税証明兼名寄帳などを取得し、固定資産評価額を見ればおおよその価格が判明します。問題は、未上場株式、骨董品(絵画、壷、刀など)著作権などの価格を割り出すのが非常に困難な財産です。未上場株式の場合は、直接その株式会社に問い合わせ、概算評価額を取得して計算します。しかし、中小企業は株式評価を出していない会社も多々ありますので、株式評価を出してくれない場合は、昨年度の事業報告書をもらい一度ご相談下さい。なお、骨董品類については、複数の専門下取り業者へ依頼するべきです。今では無料で査定してくれる業者も増えているので、相見積りを取ってみましょう。それから、生命保険に加入されていた場合は、法定相続人一人につき500万円までは非課税となりますが、この金額を超えた分は財産に加えなければなりません。
これらの財産すべてを合計した金額が相続税の基礎控除(3000万円×600万円+法定相続人数《相続放棄者も含む》)を超えている又は近い金額の場合は、相続税申告を前程とした詳細な財産調査をすべきです。いずれにせよ、相続財産が基礎控除を超えていそうな場合や相続税評価格が分かりづらい財産が数百万円以上ありそうな場合(土地が多いなど)は、一度ご相談ください。

Q18.相続開始前3年以内の贈与は遺産に含むのか

A.

贈与税のかからない110万円(年間)未満の暦年贈与を利用されている人も多いと思いますが、相続や遺贈によって財産を取得した人が、その相続の開始の日前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続や遺贈を受けた財産に加算して相続税の計算をしなければなりません(相続放棄をし、しかも遺贈によっても財産を取得していない人が3年以内に受けた贈与は加算されません)。父親が入院し死去後のことも考えた結果、少しでも相続財産を減らすため父親の預金を引出す人もいますが、これでは相続税課税対象財産を減らしたことにはならないということです。
なお、婚姻期間が20年以上である配偶者から贈与を受けた居住用財産(居宅やその敷地)は、贈与税の配偶者控除(2000万円)を超える金額だけが加算されます。実際に、死期が近い配偶者がこの制度を利用して贈与するケースも増えています。興味のある方は、一度ご相談ください。

Q19.弔慰金、死亡退職金、香典などは相続財産に含むのか

A.

会社員が死亡により退職した場合には、会社から遺族へ退職手当金、功労金、弔慰金、葬祭料や花輪代など、いろいろな名目で金品が支払われます。これらは本来、遺族が直接会社からもらうものですから、被相続人の遺産ではありません。したがって相続税法で「みなし相続財産」として課税の対象とすることが定められている退職手当金以外は、相続税もかかりません。
香典も同じ考えで、遺族へのお見舞いと弔慰の気持ちを表したものであり、受け取る遺族側も香典返しで返礼することが慣習となっていますので、被相続人の遺産とは何ら関係なく、また、相続税は被相続人から相続した遺産に課税される税金ですから、相続税の計算にも影響を与えるものではありません。

Q20.父が亡くなり、生前住んでいた家屋とその敷地を相続しました。
私にはすでに家があり、空き家となっています。家を取り壊して売却したいと考えていますが、譲渡した際の税金の特別控除などはあるのでしょうか?

A.

空き家の維持管理コストや放火などのリスクを考えると、すぐにでも譲渡したいですよね。不動産を売却したときは、売主に譲渡所得税が課税されますが、相続(又は遺贈)により取得した不動産の場合は、所得税の確定申告をすることにより特例を受けることができます。
この制度は、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、相続人が当該家屋又は取壊し後の土地を譲渡した場合に、譲渡所得から3,000万円の特別控除を適用することができるというものです。
譲渡する際の要件として、相続の開始から譲渡の時まで誰かに貸し付けたり、誰かが住んでいることがない等、いくつか注意しなければならいないことがありますし、適用期間も平成31年12月31日までの譲渡が対象です。
税務署へ提出する必要書類としては、通常の書類以外に「被相続人居住用家屋等確認書」を添付しなければなりません。聞きなれない「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市町村が窓口となり、必要書類を添付して申請します。この書類がなければ特別控除の適用ができませんので、必ず取得しましょう。
ホワット相続センターは、「被相続人居住用家屋等確認書」の取得もお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。

遺言関係Q&A

Q1.自分で書く遺言書について教えてほしい

A.

自筆証書遺言とはどのような遺言なのかを説明します。遺言は、民法に定められた方式に従って作成されなければなりません。ノートの切れ端に「家屋と預金は妻で、土地は長男が相続しなさい」という文章だけを残していてもダメなのです。
自筆証書遺言(民988)は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印(認印、実印どちらでも可)することによって作成しなければなりません(方式に間違えがなければ、ノートの切れ端だろうがレシートの裏であろうが有効な遺言書となります)。自筆証書の長所としては、最も簡単で費用がかからない方法で遺言の存在及び内容を秘密にする事ができる点などが挙げられます。短所としては、遺言書を無くしたり偽造されたりする危険性、文章の不備や遺言の内容が明確ではなく問題が生じる可能性があります。
実際にあった事例ですが、自筆証書遺言には「長男A男に全てを相続させる」と記載があったが、戸籍上A男は「二男」だったのです。長男はA男が生まれる前に亡くなっており、A男を長男として育てていた父親は、間違えて二男A男ではなく長男A男と記載していました。他には不動産の地番を間違えている方などもいます。これでは相続手続きが行えません。このように間違えて作成してしまうケースは意外と多いので注意しましょう。

Q2.自筆の遺言書を見つけたが、何からはじめれば良いのか?

A.

自筆証書遺言を見つけた場合、封に封印があるものは勝手に開けてはならず、家庭裁判所にて開封しなければならなりません(民1004③)。家庭裁判所以外において開封した場合には、5万円以下の過料に処されますので注意しましょう(開封したからといって遺言書が無効になるものではありません)。
封印の有り無し関係なく、はじめにしなければならないのは「検認の申立て」です(民1004①)。検認という手続は、家庭裁判所によって遺言書そのものを検証する手続きです。検認は遺言書の効力を確定するものではなく、遺言書の形式、態様など専ら遺言の方式に関する一切の事情を調査して遺言書そのものの状態を確定するためのものです。これにより、あとから偽造されたり変造されたりすることを防ぐ意味があります(なお、公正証書遺言は検認手続不要です(民1004②))。
被相続人の死亡当時の住所地を管轄する家庭裁判所(豊橋市・豊川市・蒲郡市・田原市の管轄は家庭裁判所豊橋支部)に申立てをする必要があり、準備する書類は以下のものです。

①申立人、相続人及び受遺者全員の戸籍
 (遺言者の本籍とつながりが分かる戸籍まで)
②遺言者の出生〜死亡までの連続した戸籍
③家庭裁判所からもらう、検認申立書、相続人等目録
④収入印紙800円分
⑤切手(相続人等の人数によって変動)
⑥原本還付申請書(提出した戸籍等の原本を返してもらうための書面)

※なお、相続人が兄弟姉妹(甥姪含む)の場合は、揃える戸籍も多くなります。その場合は、専門家に頼んだほうが無難です。
提出書類に不備がなければ、相続人等全員に裁判所から手紙又は電話にて検認期日の連絡があります。検認は全員が集まらなくても開封及び検認手続が行われますので、出頭するのが難しい方がいても問題ありません。検認手続が終了すると、自筆証書遺言に「検認済み」の表示がなされ申立人に返還されます(申し立ててから検認が終了するまで平均1ヶ月の期間を要します)。この遺言書にて、ようやく金融機関の解約や不動産相続登記が行えるのです。

Q3.公正証書の遺言書を作成したい

A.

遺言関係Q1でも書きましたが、遺言書は、民法に定められた方式で作成しなければなりません。その中の一つに公正証書遺言(民969)があります。
公正証書遺言とは、①証人2人以上の立会いがあり(相続人等は証人になれません)、②遺言者が遺言の内容を公証人に口授し、③公証人が口述を筆記し、これを証人と遺言者に読み聞かせ又は閲覧させ、④遺言者及び証人がこれに署名捺印し、⑤公証人が方式に則って作成されたものである旨を付記して署名捺印することにより完成します。
公正証書の長所としては、公証人のもとに原本が保管されるので内容の変造や紛失の危険がないこと、遺言の効力が問題になる危険性が限りなく少ないこと、検認手続が必要ないことが挙げられます。短所としては、費用がかかり公証人役場に行かなければならないという面倒な部分があります(ただし、病室や施設から出られない方は、出張費を払えば病室等へ公証人が来てくれます)。
公正証書遺言を作成する場合、まずは遺言内容と不動産など財産の資料、関係書類をまとめておきます。不動産資料としては、市町村の資産税課等から「不動産課税台帳兼名寄帳」、法務局から不動産の「登記事項証明」です。それと、遺言者の戸籍謄本、印鑑登録証明書、相続・遺贈させたい方の戸籍等も取得しておきます。公証役場の手数料は、目的財産の価格や相続させたい人数によって変動します(参考として、当事務所のお客様の平均手数料は5万円です)。
以上の書類等を持参して公証役場に行き、遺言書作成希望と事務員に伝えますが、その場で遺言作成ができるとは思わないでください。公証人も忙しいので、後日の予約を取るように言われ、その予約日にあらためて来場して公正証書遺言の作成を行います。遺言内容にもよりますが、所要時間は30分前後で終わり、すぐに公正証書遺言2通(正本、謄本)をもらえます。

Q4.公正証書遺言が出てきたが、すぐに使えるのか?

A.

公正証書遺言は、自筆証書遺言と違い「検認手続」も必要なく民法の方式にも合致しているので、すぐに使えます。遺言書には「正本」又は「謄本」というスタンプが押してあり、どちらの遺言書を使用したらよいか質問を受けることがあります。どちらも原本と同じ法的効果がありますので、正本、謄本どちらでも構いません。
相続手続に必要な書類としては、遺言書の内容にもよりますが、遺言執行者が決まっていれば遺言執行者と不動産や預金を相続する人(実際にもらう人)の本人確認資料、戸籍、住民票(本籍地記載のもの)、印鑑登録証明書、実印及び被相続人の戸籍一式です。

Q5.遺言書の内容をみると有効なのか不安だ

A.

自分が死去したあと、自分の財産をどのように処分又は相続させるのかを決めることは自由です。しかし、自由だからといって遺言者しかわからない文章を遺されると、相続人としては困ります。
例えば、法定相続人の一人に「私が亡くなったら財産については私の世話をしてくれた長女にすべてまかせます」と書いてあった場合、書いた人は「すべて相続させる」という意思であったとしても、長女以外の相続人からみると「遺産分割を任せる」と捉えることもできます。このような遺言書では相続人間でもめるだろうと容易に想像できます。遺言の解釈を、相続人間での話し合いにより結論がでれば問題ありませし、例えば長女が「こんな曖昧な遺言書ではなく、遺産分割協議で分割しよう」と言い、他の相続人も合意できれば最高です。しかし、私の経験上、このように相続人間で解決したケースは稀です。結果的には、裁判所へ確認訴訟などを提起して裁判所の判決に頼ることにならざるを得ません。
ちなみに、遺言書の解釈は、遺言書の文面を形式的に判断するだけではなく、遺言者の真意を探求すべきであり、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれた状況などを考慮して、遺言の趣旨を確定すべきだと、裁判所は判断しています。書かれている内容だけを見て結論を出す訳ではありません。

Q6.ちゃんとした遺言書をつくりたい

A.

遺言は、民法に定められた方式に従って作成されなければなりません(遺言関係Q1参照)。
また、詐欺や強迫などにより作成された遺言書は無効です。遺言書は15歳以上の人であれば誰でもいつでも自由にすることができるので、安易な考えでつくる人もいます。
しかし、いくら方式に合致した遺言書であっても「ちゃんとしていない遺言書」をつくってしまう人がいるのも事実です。ちゃんとした遺言書(間違いの無い遺言書)をつくりたいと希望する人は、自分が遺した遺言書が原因で家族が不仲になるのは絶対に避けたいはずです。遺産「争」続になれば、余計な時間、お金、気力も消費するので良いことは一つもありません。有料であっても専門家に依頼して公正証書遺言をつくるべきです。

Q7.家族(相続人)以外の人に財産をあげたい

A.

遺言は、意思判断能力のある15歳以上の人であれば誰でもいつでも自由にすることができますし、誰に何をあげるのかも自由です(但し、遺留分の点で制限はあります)。
独り身の人が、お世話になった友人に財産を残したい場合、どのようにすればよいのでしょうか?民法では、相続人の範囲(配偶者、子(又は孫等)、親(又は祖父母等)、兄弟姉妹(又は甥姪))を限定しています。この相続人以外の人(又は法人、団体など)に財産をあげたい場合は、遺言による「遺贈」という方法しかありません。被相続人を「遺贈者」、もらう人を「受贈者」と呼びます。遺贈は単独行為であり、受遺者の同意・承諾なく遺贈者の死亡により効力が発生します(受贈者は放棄することもできます)。なお、遺言により財産をあげる旨を受遺者に伝えておくことも大切です。

Q8.遺言書はあるが遺産分割協議に変更することは可能か

A.

遺言執行者がいない場合で、遺言と異なる内容の遺産分割協議が成立した場合には、相続人の意思や財産管理の自由を尊重し、これを有効な合意と解釈するのが一般的です。これに対して遺言執行者がある場合には要注意です。遺言執行者がある場合には、「相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない」と民法1013条は規定しているので、遺産分割の合意はこの規定に違反して無効だと最高裁が解釈した判例があるのです。
しかし、この考え方には様々な問題点があると指摘されています。そもそも、相続人がみんなで「それでいい」と言っているのに、遺言執行者だけが「そんなのダメ」というのはおかしいですよね。下級審判例では、こういった不都合を回避するような判示をしています。 確定的な回答はできませんが、遺言執行者がある場合、遺言執行者と相続人全員が遺産分割協議での合意に問題ないと判断していれば、絶対的無効とは言えないということです。

Q9.遺言執行者とは何をするのですか

A.

遺言執行者とは字のごとく、「遺言を遺言者に代わって執行する人」のことです。民法では、遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされています(民1012①)。
遺言執行者がいるときには、相続人(又は受遺者)は、相続財産の管理処分権を失い、相続財産を処分(売却等)したり、その他の遺言執行を妨げる行為(遺産分割する等)をすることができず、これに違反してなされた処分行為は、無効であるとされています。遺言執行者には「相続財産管理権」と「様々な義務」があるので、決して楽ではありません。例えば、遺産を調べ、財産目録を作成して相続人全員に知らせたり、遺言とおりに分配できるまで保管(善管注意義務)をするなど、結構な責任を負います。
ちなみに、遺言執行者を指定しておくと相続手続が順調に進むことから、必ず遺言書には明記しておきましょう。遺言執行者は相続人、受遺者、友人、専門家、法人など誰でも結構です(遺言執行の際に紛争が起きることが少しでも予想できる場合は、専門家に頼みましょう)。金融機関手続きにしても、相続人全員の署名・実印ではなく、遺言執行者の署名・実印のみで解約できるところがほとんどです。

Q10.病室、施設で公正証書遺言を作成したい

A.

公正証書遺言を入院中又は施設入居時に作成したいという人が増えています。公正証書と聞くと難しそうで面倒なイメージが強く、公証役場まで行く元気もないから無理だと思うかもしれませんが、行政書士などの専門家に頼めば簡単に作成できます。
公正証書作成の流れは、遺言関係Q3と同じです。予約した日時に公証人・事務員が病室まで来てくれます。遺言者と証人2人以外は病室から出なければならず、他の患者さんと同室の場合は別室にて作成する事になります。遺言内容に間違いが無いか公証人が遺言者に質問をするのですが、「○番地○の不動産は誰に相続させたいですか?」との質問に対して「長女の○○です」と明確に答えられるようでなければなりません。たまに、薬などで意識がもうろうとしている中、公証人とのやりとりをはじめてしまうケースがありますが、当然、その日は遺言書作成に至りません。
経験談ですが、末期がんを患っていた方から遺言書作成のご依頼を受け、打合せの日は元気でしたが、それから3日後に作成のため病室に伺ったときには、口から食事もとれない状態まで悪化しており、結果的に遺言書作成に至らなかったことがあります。そのときは、もう一日早く伺っていればと後悔したものです。
ちなみに、公証人の費用は、日当(4時間以内)が1万円、交通費の実費が加算されます。公証役場まで来られない理由が面倒だからなどの理由では、簡単に出張を承諾してくれないので注意して下さい。

Q11.遺言書を勝手に処分した人がいる

A.

なぜ、遺言書を破棄したのか、その理由が問題です。民法には、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者は、相続人になれないと規定されており、これを相続人欠格といます(民891条⑤)。この891条5号による制裁は、遺言書内容が気に入らず、誰にも知られずに破棄して違法利得をしようとする意思が相続人に有るのか無いのかが重要です。最高裁判所も、相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄又は隠匿した場合において、相続人の破棄隠匿行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、遺言に関する著しく不当な干渉行為ということはできず、相続人は、民法891条5号の相続欠格者には当たらないと判断しています。
公正証書遺言は隠匿や変造を事実上行うことはできませんが、自筆証書遺言では、隠したり破棄したりする事案が実際にあります。なぜ破棄するのか?破棄したい理由があるからですね。ほとんどの場合は、上記で記載したとおり違法利得を得ようとする理由からです。こういう視点からも遺言書は公正証書にしておきましょう。

Q12.遺言書に自分への相続分が無いと書いてあるが不公平ではないか

A.

遺言は、死亡後の自己の財産に関し最終意思を表示した場合には、その意思を尊重するという制度です(民法961)。誰にあげたい、どのように処分してもらいたいのか自由に決められる単独行為です。もちろん、内容によっては、相続人間で争いが生じる可能性もあります。遺言者は、なんとなく遺言書を書き残している訳ではありません。財産をもらえなかった人には貰えない理由があるのです。
例えば、妻1人にすべての財産を残すという遺言を書いた人は、高齢の妻の生活費を担保してあげたいから、という理由が一番多いです。あと、この子だけには相続させたくないという遺言を書いた人は、その子からお金をせびられたりするなど迷惑ばかり掛けられたから、という理由が多いです。そういった理由を知ったうえで「不公平だ!」と思うのであれば、遺留分減殺請求権を行使すべきでしょう。
兄弟姉妹(甥姪)以外の法定相続人であれば必ずもらえる分=遺留分があります。当然に行使できる権利ですので躊躇せずに主張すべきです。

Q13.遺留分を請求したいがどうしたらよいのか?

A.

民法では、遺言の内容にかかわらず、兄弟姉妹(甥姪)を除く相続人には絶対にもらえる分を残しています(民1028)。それを「遺留分」といい、法定相続分に総対的遺留分をかけて計算します。総対的遺留分は、妻=2分の1、子や孫=2分の1、親や祖父母=3分の1です。
例えば、法定相続人が妻だけの場合は⇒法定相続分100%×総対的遺留分2分の1(50%)=遺留分は2分の1(50%)となります。もうひとつ、妻及び子ども2人の場合は⇒妻の法定相続分2分の1×総対的遺留分2分の1=妻の遺留分は4分の1、子供1人の法定相続分4分の1×総体的遺留分2分の1=子1人の遺留分は8分の1、となります。なお、遺留分を請求する期間には制限があるので注意しましょう。遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったとき(葬儀や遺言書を確認した時など)から1年間行使しないとき、時効によって消滅し、相続の開始(死亡)の時から10年を経過した時も消滅します(民1042)。
行使方法ですが、相続をした受遺者又は受贈者に対する意思表示によってなせば足ります。理論上は口頭にて遺留分を請求しても良いのですが、後で相手方から「請求されていない」又は「時効」の問題で実現できない可能性を避けるためにも、配達証明付きの「内容証明郵便」で請求することをおすすめします。内容証明郵便は、郵便法で字数・行数・使用文字・記載方法などが決められていますので、作成に不安な方は行政書士にご相談下さい。
ちなみに、内容証明書が届くと普通の人はびっくりします。自分の本気度を伝えることができますが、受領した側は快く思いません。

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