債務がある場合の相続

2019年5月7日

令和最初の仕事は、住宅ローンの「金銭消費貸借契約」の立ち合いでした。

記憶に残る契約です。

さて、債務がある相続のケースについてまとめました。

 

相続とは、積極財産(プラスの財産)及び消極財産(マイナスの財産)のすべてを受け継ぐことです。

積極財産だけを相続することはできません。

例えば、遺産分割協議にて「金融資産は長男が相続をして、アパートローン付きの不動産は妻が相続し、アパートローン返済も妻がおこなう」と合意をしたとしても、債権者である銀行などがその協議内容を承諾していない限り、長男も法定相続分の借金を相続します。

被相続人が実際に借入をしていれば財布の中身、返済明細、通帳、不動産登記事項証明書などを見ることにより、借入先も判明します。

しかし、保証人になっている場合は、このような書面が無いことが多く、見つけるのに苦労します。

保証契約は書面で行わなければその効力を生じない(民446②)ので、この書面を見つけることが重要です。

結果的に、借金ばかりが残っており、一切の承継をしたくない場合は、家庭裁判所にて相続放棄をします。

なお、借金があるのかどうか不明な人が亡くなった場合は、相続放棄をすることを前提にした対処が必要です。

借金の月々返済、未納税金及び未払公共料金などの支払い、預金の引出しや家財などの処分をすると、相続(単純承認)をしたとみなされる可能性があり、相続放棄ができない場合がありますので注意しましょう。