生前贈与と遺留分

2018年4月18日

新年度、1発目のセミナーは「エンディングノート」でした。

「終活勉強会」に初参加された方ばかりでしたので、内容について感想を聞くと、

「絶対に知っておくべき内容ですよ!」

「知らずに年をとるのは怖い。友人にもすすめます!」

「また違う内容の終活を聞きたい!」

など、改めて終活の重要性を確認できる回答ばかりいただきました。

聞きたいけど、どこに行けばよいのか分からない人も多いそうなので、告知にも力を入れていこうと思います。

 

さて、先日、こんなご相談を受けました。(内容一部変更しています)

 

「母が亡くなり相続人は長女の私と長男である弟の2人です。遺産は300万円の預金だけ。しかし、3年前まで母が所有していた土地(評価3000万円)は、弟が生前贈与を受けている。預金を半分に分けるのは不平等だ。何か良い方法はありませんか?」

 

長男だけ母親から多くの財産をもらっておきながら、法定相続分(2分の1)の150万円まで取られるのは納得がいかない訳です。

そこで、2つの方法をお伝えしました。

 

1つめは、「特別受益(相続関係Q12参照下さい)の持戻し」をおこなう。

特別受益の持戻しをして相続分を計算すると、生前贈与を受けていた長男は何ももらえず、預金300万円すべてを長女が相続できます。

 

2つ目は、「遺留分減殺請求権(遺言関係Q13参照下さい)」を行使する。

母親の財産から土地を長男だけに贈与すると、母親の財産の大半が消失し長女がもらえるはずの財産(遺産)は非常に少なくなる(損害を与える)ということを母親や長男が知っていたとすれば、長女から長男に遺留分の請求ができます。

金額にすれば約750万円の請求です。

ただし、クリアしなければならないハードルがある。

それは、長女に損害を与えることを知ってなした贈与であることを証明しなければならいということ。

今回の事案は、このハードルをクリアすることができそうなので、遺留分減殺請求することになりました。

 

しかし、弟としては遺留分を簡単に認めないでしょうから、調停又は審判を見越して弁護士へバトンタッチすることに。

姉弟間の確執は深まるでしょうが、平等に遺産分割を求めるからには仕方の無い方法です。